パリストテレスの隠遁小屋(1)出会い

目を覚ますと。ボクは見知らぬ古民家の薄暗い部屋の中にいた。
…ここは、いったい、どこ?
ちょうどボクが体を起こして、炉端に座りなおしたときに、家主と思われる男性が隣の部屋から現れた。
さきほど、謎の合言葉を言ったのは、おそらく、この人だろう。
「どうですか。回復されたようですね」
「…ありがとうございます。あなたは? ここは?」
「ご安心ください。タマ吉警部。ここは玉鬘(たまかずら)公園の裏手にある森の中の私の隠遁(いんとん)小屋です」
「たまかずら…こうえ…、え、ボクをご存じで?」
「警戒なされなくとも大丈夫です。私はトロップくんから、おおよそのことは聞いております。それでお助けしようと思ったのです」
「トロップ!?」
「ええ、ここに…」
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