【広島弁73】「のる」 アゴを上げる

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広島弁の女子言葉編
名文広島弁訳 編

広島弁講座73

【のる】 アゴを上げる

今回の備後弁は【のる】です。


故郷を長く離れた今でも、
「ちょっと、のって!」
と、つい口をついて出てしまいます。

聞いた人は、当然のこと、ぽかぁ~ん…ですけど。
ただし、「乗って」と間違うことはないです。アクセントがまったく違うからです。
”の”に、アクセントがあります。


【のる】という動作は、【アゴをあげる】ということです。

アゴを上げると、どうしても人間の身体は少し背筋が反りますが、この言葉は、身体全体が反るのではなく、どちらかと言うと『アゴだけ上げる』感じです.


『アゴを上げる』に近い2文字の標準語は、『反る』ですが、『反る』は『背筋を反らせる』ということで、『アゴが上がる』ということは特に意味しません。
(身体的には、アゴも上がってしまいますが…)

【のる】という言葉は、『アゴが上がる(アゴを上げる)』を意味していて、『背筋を反る』ことを直接に意味していません。

備後人が、「のれ!」と言われたら背筋など意識せず、喉を見せるような感じで、アゴを上に上げるでしょう。
連動して、自然とやや背筋が反ってしまうだけです。

ほかの説明をしますと、
「2階の窓を見ろ」
と言われたら、上方を見るために、顔(アゴ)を上げるので首の動作を意識するけれど、背筋を反るということは特には意識しないですよね。背も反ってしまうけど.


それが、広島弁の【のる】です。

なんか、わかりづらい説明になってしまいました。すみません。
でも、説明しづらいということが、The方言 なのかも。

標準語 広島(備後)弁
アゴを上げる のる
アゴを上げた のった
アゴを上げない のらん
アゴを上げなかった のらんかった
アゴを上げろ のれ
アゴを上げるな のるな
アゴを上げたい のりたい
アゴを上げたくない のりとーない
アゴを上げれる のれる
アゴを上げられない のれん
アゴを上げてくれ のって

※『乗る』と言う動詞の変化と同じです。アクセントは違います。

<会話例1>

標準語
広島備後弁
そんなに顎を上げたら、正確な身長が計れないでしょ。
          ↓
そがいにのったら、ええように身長が計れんじゃろ。
まっすぐ立ってるわよ。
          ↓
のってなぁよ。
なに言ってるの。背筋も反ってるし。
          ↓
なによ~るん。背ものっとるし。
(※意味が混ざって、『顎を上げる』=『背筋を反る』→『背がのる』)

 

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2018年10月11日