夏休みの自由研究の顛末 [1](子どもは時に変な研究をする。私も…)


夏休みの自由研究の顛末

(注:この項は内容がちょっと気持悪い部分ありです。食事前後に読むには適しません)

11歳の夏休みのときのことである。

私の実家はお好み焼き店で、母がひとりで切り盛りしていた。
昔のことでエアコンなどはなく、瀬戸内の蒸し暑い夏には店の表も裏も風が通るように戸を開けっぴろげにし、店内で扇風機を動かす。

家(店)の裏には狭い庭があった。
ある夕方、何かの種を植えようとしていたのか、私は庭の隅をハンドスコップで掘り返していた。すると浅めの土の中から、小豆くらいの大きさの何かがいくつも出てきた。

よく見ると小豆のようで小豆ではない。色がそこまで濃くない。それに形が違う。
その周りをさらに掘ると、どんどん出てくる出てくる。かなりの数であった。
「なんじゃ、これ?」
私は、その小豆みたいなものをつまみあげて、じっと見た。

「あ!これはもしかして…」

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(さて、その2週間前)

私は夏休みの自由研究のテーマを決定し、研究ノートの最初のページにこう書いた。

『ハエの成長記録』

まず私は味付け海苔の入った容器(縦長のガラス製もので高さ25~30cmくらい、底辺の四角の辺が20cmくらいで、それに味付け海苔を詰めて販売されていた)を母親からもらった。

「夏休みの科学研究に使う」
というと、喜んで提供してくれた。

私はそのガラス容器の中に、深さが1/3くらいになるまで庭の土を入れた。
次に私は近所の魚屋さん(当時はスーパーなどはほぼなく、家の近くの八百屋さんとか魚屋さんで買物をしていた)に行き、廃棄するサバの頭を2つもらった。
仕入れた生魚を店で捌いて販売するので、魚屋さんにはそういうゴミがいくらでもあった。

「こんなもん、なんに使うん?」
「夏休みの研究や研究!」
「なんの研究なん?」
「秘密」

私をその異臭のし始めているサバの頭を、用意した研究装置(海苔のガラス瓶に土を入れてあるもの)にセット(瓶の中の土の上に置いた)した。
そして、その瓶には蓋などせず、庭の片隅に置いた。

準備はできた。あとは待つだけである。

数日後、研究装置(サバの頭)にうごめくように多数のハエの幼虫がわいた。
「うう~、不気味や。でも研究じゃし、がんばって観察せんといけん」
私は熱意をこめて、瓶の中で繁殖し成長するハエの幼虫の生態を日々記録した。

(この文を書いていて自分でもかなり気持悪い…ごめんさなさい。しかし科学研究記録なので…。今ならこの不気味な観察研究は私にはできない。無垢な?子供だからできたのか?)

研究観察は順調に進み、私は朝昼夕の3回、庭の隅に置いてある研究装置(魚の腐った頭が入ったガラス瓶)の前に座っては、その様子(ハエの幼虫の成長)を念入りに観察し記録した。
この研究によって、私が科学者への道を進む可能性さえあるのだ。

そんなある日、私は昼の観察を終えた後、自転車で市が運営する格安料金の野外プール(市民プールと呼んでいた)に行き、午後はずっと泳いで遊んでいた。
夏休みだから、施設はごった返していた。

プールの中も混んでいて、とてもじゃないが自由に5mも泳ぐことができない。
でも楽しい。一日中、いられる、

(このお題、つづく)

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2019年02月04日