広島弁訳名文<001>吾輩は猫である

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広島弁翻訳?の、記念すべき第一回は、私の敬愛する夏目漱石先生の、デビュー作です。

漱石先生が、泉下で渋面をされてるかもしれませんが、敬愛を表す形も様々…ということで…。


【吾輩は猫である】 冒頭部 (夏目漱石)
広島弁訳
わしゃ猫なんじゃ。名前は、まだなぁ。
どこで生まれたんか、いっこもわからん。
なんじゃろうか薄暗(うすぐろう)て、じめじめしとったとこで、ニャーこら鳴いとったことばぁ覚えとる。

わしゃ、ここで初めて人間ちゅうのを見た。
そんで後で聞いたんじゃが、そんなぁは書生ちゅう、人間でいっちゃんいなげな種族じゃったそうじゃ。この書生は、ときどきワシらを捕まえて煮て食うんじゃと。

じゃが、その当時はそぎゃーに考えもないけぇ、そがいには恐(こわー)とか思わんかった。
ただ、そんなぁの掌の載せられて、スーッとさげられた時、なんじゃいうかフワフワしょ~たかのう。

掌の上で、ちびっと落ち着いてから書生の顔を見たんが、ほうじゃのう…人間ちゅうもんの見初めじゃろうのう。
ばぁ(ばー)→~だけ、そんなぁ→そいつ、いなげな→おかしな
そがいに(そぎゃーに)→そんなに、さげる→持ち上げる
しょ~た→していた

 

【吾輩は猫である】 冒頭部 (夏目漱石)原文
(勝手ながら、WEB表示用に、文の区切りや段落は管理人が変更しています)
吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。
何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

吾輩はここで始めて人間というものを見た。
しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕えて煮て食うという話である。

しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。
ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。
掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。

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2019年02月26日