ソウルフードは備後風お好み焼き [1] (実家がお好み焼き店である私のこだわり…

ソウルフードは備後風お好み焼き(1)

私はこれから【広島県のお好み焼き】について語ろうとしている。

それも私という個人が知るだけの限定された経験と情報からである。
よって異論、憤慨、無知についての哀れみなど様々なことを感じられる方々がおられるのは承知の上でのことだということを、申し上げておきます。

テレビや雑誌などで【広島風お好み焼き】という言葉や文字を見聞きするたび、私は、
「う~ん」
となるのである。

この私の「う~ん」は、よくある広島県人の、
「風(ふう)って何? お好み焼きといえば、広島じゃ。大阪風はお好み焼きじゃのうて、パンケーキ!」
などというパターン化した憤慨とは違う。(ある意味では、同じ)

【広島風】として紹介されているお好み焼きは、私のソウルフードであるお好み焼きと少し違うからだ。
(少し違…だけなら「あまり変わらない」とも言えるわけだが…)

私独自の(つまり身勝手な)定義でいうと、一般的に紹介される【広島風お好み焼き】とは、あくまで【安芸風お好み焼き】である。

安芸風?
そう。 旧分国では、広島県の西半分を安芸、東半分を備後という。
だから、【安芸風】とは広島市を中心として食べられているお好み焼きのこととなる。(私個人の見解)

私の故郷は備後のほうにあり、私が子供のころ、私の母は一人で自宅の1階で、お好み焼き店をしていた。
よって、私はお好み焼きを食べて育った。血肉がお好み焼きなのである。
そして、私の食べていた(母が作っていた)のは、【備後風】お好み焼きでなんである。

お好み焼きには各地に色々なものがある。
私は基本的にそれらの全てが好きだ。それぞれのお好み焼きに個性があり、おいしく、人それぞれのソウルフードとなっているからである。

とはいえ話を簡単にするために、あえて極めて大雑把に世俗的にお好み焼きの【作り方】だけで分類すると、大きく2つになると私は思っている。

ひとつは【広島(安芸)風】、もうひとつが【大阪(関西)風】である。

既に誰も知っていることではあるが、この2つの作り方の手順を要約してみよう。

以下は、あくまで作り方の手順であって、小麦粉を水に溶くとき何を加えるとか、お好み焼きにどういう具が入っているとか、トッピングがどうとか、そばやうどんを入れる(いわゆるモダン焼き)とかの部分はここでは関係ない。
私が語りたいことの要旨は【作り方】であり、それこそがポイントだからである。

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■広島(安芸)風■
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鉄板にクレープ状のものをまず作る。
それからその上に色々好きな具を乗っける。
ひっくり返して『表』も焼いてできあがり。
『つなぎ』がないため、極端に言えば具がバラバラになる。

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■大阪風■
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ボウルなどで小麦粉も具も何もかも混ぜる。
それを円盤状に成形しながら鉄板で焼く。
ひっくり返して『裏』も焼いてできあがり。
(大阪風には裏表はない…ソースをつけるほうが表になるだけ?)
『つなぎ』の中に具があり、パンケーキみたいになる。

そして、この2つのお好み焼きの中間…地域的にも作り方的にも中間の【備後風】が存在する。私の母が作っていたお好み焼きである。

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■備後風■
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作り方の基本部分は、ほぼ【広島(安芸)風】と同じである。
【広島(安芸)風】との違いは、
お好み焼きをひっくり返えす前に『つなぎ(具をくっつける)』として水で溶いた小麦粉汁を少量かけて、乗っけた具の中にしみ込ませてから、それをひっくり返して『表を焼く』
ということだ。
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備後風にお好み焼きを作ると、
【大阪風】のように、『小麦粉に具が埋まったパンケーキ状』にもならず、
【広島(安芸)風】のように、『具がばらばら』にもならない。
よって、、
適度に全体が『固まった』お好み焼きができるのだ。

この備後風の作り方だと、固まっているぶん【広島(安芸)風】よりコテで切って食べやすいし、【大阪風】よりも小麦粉部分が少ないので素材の食感や味も生かすことができるのである。

だいたいのお国自慢は独善的で視野が狭い者が多く、地域外の者から見れば、たいていバカげているものであるという自覚を私は持ったうえで、言う。

ああ、すばらしい【備後風お好み焼き】!

こう言って、一人で喜んでいるんだけど…まぁ、仕方ないよね。
私のソウルフードなんだから。

備後地方(備後隣接地も?)以外の一般的日本人は、四捨五入して言えば広島風か大阪風のお好み焼きを、お好み焼きと思っている。気の毒である。

(つづく)

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2018年09月21日