『香港亭』の餃子 [2]

『香港亭』の餃子

香港亭餃子の作り方(私なりに家庭用にアレンジした方法)
材料は、小ぶりな餃子を100個以上作れるくらいとして、
白菜1個、キャベツ1個、ニラ、ニンイク1~2束、ひき肉300g~(正式にはだが豚、あっさりさせたければ鳥も混ぜていい)。
餡に混ぜる調味料は、醤油、砂糖、ごま油、コショウ。

白菜、キャベツの割合は半々くらいか、好みでいいが、ともかく要点は、
【細かく刻んで塩もみして、15~30分程度放置した後、徹底的に水で塩分を抜き、そのあと徹底的に水分を搾り取る除く】
ことである。

白菜やキャベツのみじん切りから、どれだけ水分を抜けるかが勝負の一つなのである。

塩抜きのため水浸しになっているキャベツと白菜のみじん切りを和布巾など目の小さい布にに包んで、「最後の一滴まで」くらいに、時間をかけて手押しで絞りに絞る。

この作業を伯父さんや叔母さんが(力が必要なので、だいたいは伯父さん)するのを何度か見たことがあるが、時間と腕力が必要な大変な作業であった。

私の母などは、その和布巾ごと大きなバスタオルに包んでバラけないように縛るか、網目の小さい洗濯袋できっちり包んで、洗濯機で脱水していた。

お店に出すものでもないから、私もそうしている。

徹底的に水分を抜くと、みじん切りした白菜とキャベツの嵩は、ほんとうに驚くほど小さくなる。だから、かなり多めに用意しておいたほうがいい。

次にボウルの中で、その【徹底的に脱水されたキャベツと白菜のみじん切り】を、ひき肉と混ぜ合わせる。

そのときに、細かく刻んだニンニク(家庭でならニンニクパウダーみたいなものでもよいかも)と醤油とコショウと砂糖を入れ、手でこねるんである。
手の体温で、ひき肉の脂肪が融け、粘り気が出てくるまで、よ~く混ぜる。

最低でも5分以上混ぜたら、最後にごま油とできるだけ細かく刻んだニラを入れる。
(ニラは好みで量を変える。最低1束は入れたい)
そして、ニラがよく混ざるように、またよ~く手でこねて混ぜる。

そうすると、ついにボールの中身は、ペースト状の餡になる。

肉が生だから、一応食べてはいけないが、私はそこで味見をする。
このとき、この餡だけでも「うまいなぁ」と思えれば、もう完璧。焼いたら、もっとおいしくなるのは間違いない。

できた餡を密封できるパックに移して、しっかり蓋をし、冷蔵庫(できればチルド)で、数時間以上寝かせる。

焼き餃子ではあるし、凍らない程度の低温で管理した冷蔵庫内で数日は保存できると思うが、焼く前は生肉の餡なので、十分な注意が必要。
その辺は自己責任で管理してください。

皮は市販のもので最も薄いものを使う。
関東では、餃子の皮が分厚い。(それはそれで美味しいので、もちろん好みの皮でいいと思うが)、皮が薄いのが【香港亭餃子】なんである。

私は絶対に、薄い皮しか使わない。
薄い餃子用の皮が手に入らない時は、ワンタンの皮を使うときもある。

ワンタンの皮は四角なので、餃子らしくない形になるけれど、自宅で食べるので、私は餃子の形は気にしない。
(私は餃子の丸い皮2枚で餡を包んで焼き、『UFO餃子』と命名しているものを作ることだってある)

ともかく、焼きあがって噛みついたときに、カリッとする皮の薄さが命!である。

私は時々、この【香港亭餃子】を作る。
作ると、何食かに分けてだが、百個から二百個くらいは食べる。そのくらい食べておくと、しばらく食べなくてすむからという理由もあるが、子供のころから、そういう数を食べてきたので、そのくらい食べないと食べた気がしない。

餡作りは、2~3時間(買い物からだと半日)かかるから、無精者の私としては、そうたびたびは作る気にはならない。

私は料理をするのは好きでもないし、料理が上手でもない。
食事の量は多いほうだが、食べ物にほとんど執着がない人間なので、日ごろは何でも食べるし、
「今日はこれが食べたい」
などと思うことが、あまりない。

そういう私にとって、わざわざ手をかけて【香港亭餃子】を作って食べるのは、一種の『儀式・儀礼』なのだと思う。
もちろん、伯父さん伯母さんとの思い出への追悼の儀式である。

私は、『【備後風お好み焼き】を食べれば、母』を、『【香港亭餃子】を食べれば、伯父伯母』を思い出すのである。

ここまで書いたところで、妻が来て、これを書いているモニターを覗き込んだ。
「食べ物で、親族を思い出すんだぁ~。へぇ~」
そう呟いて、そのまま立ち去った。

おいおい…。
なんかこう、書きながら、しんみりしてたのに…。台なしじゃないかぁ。

(このお題、完))

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2018年09月26日