ジーザス・クライスト・スーパースター [2]

ジーザス・クライスト・スーパースター(2)

私は大学1年生のとき(1979年)に、池袋の小さな映画館の狭くて人のまばらな地下映写場で、映画版(1973年ノーマン・ジェイソン監督)を初めて観た。

大学の1年生だから授業はまだ一般教養課程が主であるが、キリスト教学科なので学校で宗教やら哲学やら語学やらを学んでいる。
もちろん、私は中学生の頃から、宗教や哲学一般に関心があって、ずっとその手の書物は読んでいた。

そういう多感な時期の鑑賞であった。

映画版JCSは、とても面白くて真摯に作られている素晴らしい映画なのであるが、一般的な生真面目な宗教観を持つ者が観れば大憤慨ものだろうなぁ、と、当然ながら私も感じた。

そもそもイエスのことを、
「Hey JC」
と呼ぶ。

ん~、どうなんだろ?
う~ん、でもまぁフレンドリーだ!フレンドリーすぎるぞ!

登場人物の服装も、イエスやピトラや司祭たちは一応は古典的イメージにしてあるが、あとの登場人物は、12使徒も含めステキな【ヒッピー】である。
当時のアメリカの若者文化というか若い世代の流行風俗の影響下にあるわけだろう。

「それにしたって…(見方によれば)これは不真面目で不謹慎すぎる」
と私は感じた。私にも一般常識みたいな感覚は十分にあるのだ。

それはそれとして、もう一方では、
「おお、いいぞ!いかす、いかすぞ!!」
である。

私はそのときにその映画を続けて2回観た。翌日も観た。
最初は同じ学科のクラスメートと観に行ったのだが、彼の体質には合わなかったようで、その映画を何度も観ようとする私を不審に思っているようだった。
まあ、わからないではない。

それから私はすぐサウンドトラックCDを買った。その後、映画のビデオも買った。
毎日というほど聴きすぎて飽きてしまうほどになったので、その後は1年に1~2回集中的に聴いては、その後は忘れてしまうということを繰り返した。

それでも一人で車を運転するときは、CDをかけて大声で歌った。
(私がいっしょに歌うと、この名作ミュージカルは芸術的には台無し…。

「生まれ変われるなら歌がうまい人間に!」
というのが切なる願いの私にとって、 テッド・ニーリー(イエス役)の歌は圧巻。
特に『ゲッセマネの園(Gethsemane)』の絶唱は、聴き惚れる。

彼が歳をとってから(70歳くらい?)の彼の舞台での歌唱を動画で観たことがあるが、それもすごかった。
小柄なんだが、どこからあの声が出てるのか?

サウンドトラックの全曲好きなのだが、もう一つ挙げれば『イエスは死ぬべし(This Jesus Must Die)』 が好き。
高音(アンナス)と低音(大司祭カヤパ)の掛け合いがいいなあ。
陰謀的で。『的』じゃなくて陰謀そのものなんだが。

このシーンは(この映画だけでなく神学的にも?)ストーリーとして大事なところで、イエスは殺されて死んでこそ、復活して愛のキリストになるので、とにもかくにも『殺してもらわないと』困ってしまうんである。

実際に死刑にするのはローマ総督のピトラだが(彼もそんなことしたくなかったが)、大司祭たちがその『イエス殺害道』を作っていく意志を露にするという場面である。

彼らはイエスを殺そうと画策する【すごく悪いやつら】なんだが、(ユダもそうだが)、『全部が神の計画』なのだから彼らはイエスの(というか神の演出の)補助者でもある。

「自分の意志だけど、やってるんではなく、神にやらされてるんでしょ?」
って誰でも思う。

このあたりの機微は【宗教】なので、
「そういうものなんだ」
と思うしかないし、思えないと登場人物の行動が理解できなくて苦労する。

でも気にすることはない。キリスト教内部でも、
「それってどうなのよ?」
というのを(神学論的な問題を)長い時間をかけて話し合って、
「こう理解することにしよう」
と(人間が)決めてきたのだから。

キリスト教は西洋文明に不可欠な大きな大きな骨子の一つである。
我々日本人が無意識に仏教的、神道的、道教的なものを含んだ文化を保持しているのと同じで、好き嫌いを超え、理解していようが誤解していようが関係なく、キリスト教は西洋文明の根っこにある核なのだ。

人間はどんな文化の違いがあっても、そこそこ日常的な有効なレベルで相互理解できると私は信じるが、この根っこの違いを意識していることが、相互理解へ至る(あるいは至れなくとも相互不信を回避する)手順にとって重要なのだと思う。

(私は宗教や文化について語る能力はないので、このへんで…)

信心も知識もないけれど、『ジーザス・クライスト・スーパースター』は、私には賛美歌と同じなのである。…その前にロックだけど。

(このお題、完)

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2018年12月11日