【広島弁02】「ごねる」(小動物、虫などが)死ぬ

【れたすはうす】の『広島弁(備後弁)』『岡山弁(備中弁)』
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備後弁の女子言葉 編
名文備後弁訳 編


広島弁(安芸~備後弁)~岡山弁(備中弁)講座02

【ごねる】 (小動物、虫などが)死ぬ

 

地方言葉に、古語が残っているのはよくあることだってね。

今回の広島備後弁は、【ごねる】。

 

晩夏の野外での犯罪現場検分の時に、発見した遺留物のそばにセミが死んでいたのを見て、ついボクが、

「あ、セミが、ごねとる!」

って、つぶやいたのを部下に聞かれて、彼らが首をひねったので、ここでこの言葉を紹介することにしたんだ。

 

ごねる】は【死ぬ】ってことだけど、備後弁の感覚では、普通は人間には使わない。

 

動物でも親近感のある場合(ペットなど)は使わないと思うなぁ。なんていうか、虫、魚、爬虫類とかに使う用語かな。

とはいえ、もっと小さなもの、たとえば、「細菌がごねる」とも言わない気がする。

 

稀に、対人間に使うシチュエーションは、そうだなぁ…、ひじょ~に相手を見下しているとき、あるいは相手が極悪人みたいなときかなぁ。

 

それと、対象者や対象物ではなく、この言葉を使う人間自身が下品な性根の場合、とかもある。つまり、【ガラの悪い感じ】の言葉!(百年位前?くらいまでなら多分、普通な言葉)

 

標準語だと、【ごねる】は『不平を言う、いちゃもんつける』みたいな感じだよね。これもわる~いイメージの言葉。

 

御涅槃 (ごねはん)】という意味から。【死ぬ、くたばる】という意味になったらしい。

『涅槃』というのは仏教でいう『お釈迦様の入滅(亡くなられた)』のことだから、そこからきてるんだね。

 

仏教じみた言葉が残っているなんて、さすがに『安芸門徒』と言われていたお国柄。

(※備後地方は隣りで、毛利氏の統治以後は、同一文化圏みたいなものだからね)

 

だから、ボクはセミの死骸を発見したとき、「極楽浄土にいきますよう~に」という思いで、「南無南無南無」と拝んでおいたよ。

 

標準語 広島(備後)弁
死ぬ ごねる
死なない ごねん
死んだ ごねた
死んでいる ごねとる
死のうとしている ごにょ~る
死ななかった ごねんかった
死んでくれ ごねてくれ
死にたくない ごねとうなぁ
(わしゃ、ごねん!)
死ねない ごねられん

 

<会話例1>

標準語
広島備後弁
あ、昨日捕まえたセミが死んでる
          ↓
あ、昨日とったセミがごねとる
あの金魚は、5年たっても死なないのにねぇ。
          ↓
あの金魚は、5年たってもごねんのじゃが。

 


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2017年11月21日