【広島弁70】「ギザミ」 ベラ、キュウセン

【れたすはうす】の『広島弁(備後弁)』『岡山弁(備中弁)』
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広島弁備後弁の女子言葉編
名文備後弁訳 編


広島弁(安芸弁~備後弁)~岡山弁(備中弁)講座70

【ギザミ】 ベラ、キュウセン

 

今日は、【れたす】が担当します。

 

私は瀬戸内沿岸の小都市で育ち、子供のころは、家から海(河口)まで、数分。

幼少時から、海は遊び場。

 

護岸やテトラには、牡蛎やカラス貝が、びっしり。

牡蛎は、たんなる『魚のえさ』という認識で、のちのち大人になってから広島の牡蛎が名産品と知り、驚愕!?

(…ちょっと大げさだけど、そんな感じ)

 

ということで、魚釣りは日常的で主要な遊びの、一つ。

 

小学低学年のころは、竹竿を拾ってタコ糸をつけ、海で自力調達したイソメや牡蛎などをタコ糸に結んで、浅瀬で数メートル先にいる魚を狙って釣りをしていたなぁ。

 

そう。釣り道具を買えないから針がないけど、魚(ハゼとかドンパァとかの小魚)がエサを大きな口でガブッっと呑み込んだ時に、すばやく合わせると、わりと釣れた。

 

小学校高学年になると、アルバイトもしてたし、釣り道具を自分で買えるようになる。

リールと竿を買って、投げ釣りもできるようになった。

 

釣りは、淡水の川や池でもしたけど、ハヤ(ウグイ)以外のフナやコイやナマズやライギョなんかは、食用じゃないという認識なので、やはり食べ盛りの子供は海釣りが好きだ。

 

海でも、ボラは群れをなしていても食べ物じゃなかった。そんなに釣れないし。

子供の岸近くでの投げ釣りだから、チヌ(クロダイ)が釣れたら大騒ぎだけど、めった釣れない。

 

結局は、ハゼ、キス、【ギザミ】ベラ)なんかが釣れる。

実際は、ほとんどがハゼ。

ハゼ、ハゼ、ハゼ。

 

ときどき、ギザミが釣れる。

大きめの【ギザミ】(20センチ超え)だと、母が喜んだ。

なぜなら、瀬戸内では【ギザミ】は、高級魚扱いだからね。

 

ハゼなどを私が大量に釣ってくると、料理するのが面倒で、母はイヤがったが、【ギザミ】だと、きれいな塩焼きにしてくれた。

 

ごちそうなのだ。

 

大人になり、【ギザミ】(ベラ、キュウセン)を好まない関東地方に住むようになっても、たびたびよく東京湾、三浦半島、伊豆半島に釣りに出かけた。

 

あるとき、たまたま弟と釣りに行った。

そのとき、【ギザミ】の群れでもあったのか、投げるたび色彩も鮮やかな【ギザミ】が次々と釣れた。

 

私と弟は、狂喜乱舞して、大さわぎで高級魚【ギザミ】を釣り上げるたび歓声を上げた。

「ん~、クール宅急便で故郷のお袋に送ったら、どれくらい喜ぶか…」

などと、思った。

(もちろん、故郷では魚屋やスーパーで売ってるんだが…)

 

そのとき、近くで釣りをしている地元のおじさんにもベラが釣れていた。

彼は、

「ちっ!」

と舌打ちしては、釣れたベラ(ギザミ)をゴミのように海に捨てていた。

 

私と弟は、恐ろしいほどの、文化の違いを実感した。

そして、あんまり大騒ぎするのをやめて、おとなしく【ギザミ】釣りに励んだ。

 

私が満面の笑みで、釣れた高級魚である大漁の【ギザミ】を家に持って帰ったら、妻が顔をしかめた…。

「このキモい色の熱帯魚、食べれんの?」

 

標準語 広島(備後)弁
ベラ、キュウセン ギザミ

 

<会話例1> ※会話というより、ギザミの生態豆知識。

標準語
広島備後弁
ギザミは青っぽくて大きいのがオスなんだけど、それはメスが性転換したものなんだ。
          ↓
ベラ(キュウセン)は青っぽうてデカイんがオスなんじゃが、そりゃあメスがオスに性転換したもんなんじゃ。
へぇ。じゃぁもともと、オスはいないってこと?
          ↓
へぇ。ほならもともと、オスはおらんの?
もともとのオスもいるよ。それはメスと同じような色と大きさなんだ。
          ↓
もともとのオスもおる。そいつらはメスと同じげな色とデカさなんじゃ。

 

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2018年10月07日