台風一家 (妻よ、キミは正気か?)

台風一家

この話は、書きたくなかった。

理由は、『ウケ狙いで、書いているのだろう』と思われたくないからだし、まさか『ウケ狙い』で、こういう手垢のついた陳腐なネタ話を出してくる愚者と思われたくないからでもある。

だが、これは社会学の例証の一つの記録として書いておかねばなるまい、と思って書くんである。

まさか、実際に近くに【こんな人】がいるとは思わなかったし、こういうことは【ネタ】だと思って数十年、生きてきたのだが…。

結婚して20数年も経っていたある日、妻が天気予報の天気図を見ながら言った。

「今日は台風一家の晴天だって。ここの小さい熱帯低気圧が子どもってこと?それとも奥さん?」

冗談でも質が低すぎるし、使い古されたネタだが、妻は真顔である。

ん~、ちょっと、こわいぞ…。
この手のジョーク?は、すでに干からびた超古臭い古典的芸人ネタとしても通用しないはずだ。

そもそも長くいっしょに暮らしていて、台風も数十個見送ったはずだが、何故今になって…。

いや、彼女は私の横に座っていて、台風の話題があるたびに、いつも【そういうふうに】考えていたということか…頭の中で。
ただ、今までは、たまたま言葉にしなかっただけで。

そうだとしたら、やっぱ、こわいが… これは、受け入れるしかあるまい。
が、漢字を書いて、ちゃんと正さねば。

「一家じゃなく、一過。過ぎ去ったという意味」
「え、そうなの!」

そのときの、驚いている妻の顔を、世界中にYouTubeで公開したかったぞ。
もちろん、録画などしてないけど。

この話は、こうやって書けば、『わざとらしい、ありがちな小噺』と思われる。
でも現実として、あなたの家に、こういうことを言う人はいないでしょう?

うちには、いたんだから…。

(このお題、完)

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2018年11月03日