【絵馬028】縁起やジンクスを気にしない…

<今日のお題>

縁起やジンクスを気にしない人間になりたい。

その絵馬に書かれた願い事の、本当の意味とは?

 

【スノーウィー神主のつぶやき】

どの国やどの文化にも、『縁起かつぎ』や『ジンクス気にしぃ』は、あります。

 

とはいえ、たとえば、黒猫のように、幸運の印だったり、不幸の象徴だったり…同じ事象が真逆な解釈をされる場合もありますから、縁起やジンクスが科学的・非科学的とかいう以前に、恣意的(論理的でなく勝手気まま)なものだといってよいでしょう。

 

私が日本に来て、最初に聞いた『縁起かつぎ』の話は、神社に来られた老婦人の方が話された、次のようなものでした。

 

「昔の京都の公家さんは信心深いというか迷信深いというか、えろう縁起をかつぎなさるそうでな。家を出るとき、家の玄関を右足から出て、『つる、かめ、つる、かめ』と片足ごとに唱えて歩くそうや」

 

「それで、訪問先の家に着いたときに、『つる』で玄関に入ったら、『しもうた! こりゃ縁起がようないわ』とガックリして、すぐ自宅に戻るんやそうや。

で、もういっぺん、家から『つる、かめ、つる、かめ』と片足ずつ言いながら歩くんやと」

 

「訪問先の玄関に入る足が『かめ』でなかったら、また帰宅して、それを何度も繰り返さんといけんから、日によっては相手の家を訪問できないときがあったそうでねぇ…。公家さんも、たいへんなんや」

 

まあ、庶民の持っている、お偉いさんへの羨望と軽蔑が混じった作り話だとは思いますけど、なにやら御霊信仰(ごりょうしんこう)などにも熱心だったお公家さんたちには、『そういうことも、ありそうな』感じもして、面白いですねぇ。

 

『縁起』というのは仏教用語ですけど、あえて簡略にしてしまえば、『物事には原因がある』ということですね。

 

『ジンクス』とは、『縁起が悪いものの言い伝え』ということで、『縁起が悪い原因を具体的に示している』ものです。

(※良いジンクスというのは日本的なものです)

 

つまり、『物事には原因があり、その原因となる物事がある』ということでしょう。

 

悪い出来事には(良い出来事にも)、当然その原因があるはずだから、その原因を取り除く(避ける)ことができれば、悪い出来事(災難、厄災)から逃れられるはずだ!という考えなわけですね。

 

だから、『その原因を知らねばならない!』わけです。

原因を知らなければ、対処ができませんからね。

 

ところが、原因を知ったからといって、それを必ず排除できるとは限りません。

と言うよりも、より正確に言うなら、

『悪い出来事の原因を排除できるなら問題ないが、排除できないから困る』わけです。

 

私は猫も黒猫も大好きですが、黒猫が何かの不幸の原因だったと仮定しましょう。

さあ、黒猫を探して、一匹残らず始末しましょう!

 

黒猫だと、わかりにくいですかね?

 

ネトウヨ、サヨク、変な人、気に入らない人、自分と違う人やもの、自分と合わない人やもの…そういうのを排除すれば、不幸は一掃?

 

バカバカしい。

宇宙は、そんなに単純じゃないでしょ?

 

あなたのことを、『あいつが悪い出来事の原因かも?』と、誰かに勝手に決められて排除されるかもしれないでしょ?

 

縁起とかジンクスというのは、『そういう考え方の変形』です。

相対的な視点で見なければ。

 

え?

「ゴキブリがいると気持ち悪いのは絶対的な嫌悪感だろ!」

ですって?

 

ゴキブリが、あなたを見て、そう思ってたら、どうします?

そういうのが、『相対的視点』です。

 

縁起やジンクスを担ぐのはいいですけど、縁起やジンクスなんぞに、あなたのほうが『担がれては』いけませんよ~。

 

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2018年12月30日